インドより、と、インドへ
真木テキスタイルスタジオの千秋さんから着いたばかりのデリーから写真が届いた。
あちらはもう春が訪れていて、温かくて身体がゆるみましたとメールにあった。
ここから次の日にはデラドンに移動するのだそう。
デリーからプロペラ機で一時間ほどを北に飛んだところにあるデラドン。
今僕が身につけているショールは、このデラドンにある工房ganga で織られたものだ。
武蔵五日市にある真木さんのスタジオを訪れる途中にばったり会ったラケッシュが、
今は日本でも急激に姿を消し始めている手仕事をするためにganga 工房を始めたことを教えてくれた。今急速に経済成長しているインドの中にあって、手仕事の価値を見直そうとしている。まだ若いラケッシュに驚いた。だって、今のこの日本でようやく見直されつつあるところではないか。成長した先の日本とこれからのインド、その両方を見て感じての決意だったそうだ。
その話は僕に必要なものをなんでもつくってやろうという意気込みを思い出させる。
7年前、古い平屋に越したばかりの時、床を張り、壁を塗り、戸を直し、ガラスをはめ、椅子やテーブルをつくり、買ったものよりつくったものの方が嬉しくて楽しかった。見た目のことより、とにかく自分でつくったものをつかうこと、まずそうやってみることが大事だった。
自立自由の向こうへ。
僕は東京が好きだ。でもハンドルを握りそこなうと、手作業はいつの間にか効率という名目の元、ただの忙しさに変わってしまいそうだ。手仕事で暮らしていく意義、それから幸せの優先順位をもう一度考えてみる。
自立はいいが自由はどうだ。
ふとインドに行って見てみたくなった。
千秋さんやラケッシュに聞いた ganga の景色とそこでの手仕事や暮らしを見てみたくなった。
その入り口は自分の中をも探検できる旅になりそうだった。
どんどんとその小さなつぶやきは僕を焚き付けてくる。
・
そうして本当にインドへ行くことになった。
丁度その時に千秋さんからインド好いよ、と言って頂いたのだ。
今はその景色がただ待ち遠しい。
※「住む。」2011夏号 No.38 にganga 工房の特集があります。以前、かぐれ展の時にキュレーションをして頂いた石田のりかさんが書いていらっしゃいます。是非。
※ 千秋さんのganga便り も是非。
update : 2012/01/13 - 8:01 AM
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